ラプチャーディスク / ラプチャーディスクについて
ラプチャーディスクの製造範囲と許容公差
1.製造範囲
米国ASME規格にて「ラプチャーディスクはその製造範囲内にて破裂したものであり、破裂圧力がラプチャーディスクの銘板に刻印されたものであること」とされています。
この製造範囲は圧力の範囲でラプチャーディスクの製作破裂時における破裂試験の結果の平均値があらかじめユーザとメーカにて協議して決定した製造範囲内におさまらなくてはなりません。
例えば、破裂圧1MPaを目標として圧力設定する場合、ファイク標準製造範囲はPV型ですと-5%、+10%すなわち0.95〜1.10MPaの圧力範囲となり、製作時の破裂テスト結果の平均値がこの範囲内に必ずはいっていなくてはなりません。
2.許容公差
製作されたラプチャーディスクは、製造時の破裂テスト結果の平均値が破裂板に刻印されます。
この刻印された値に対してPV型の場合、破裂圧力が0.28MPa以上のときは±5%公差があります。この公差は主に同ロットの板材であっても板厚にも許容公差があり板材の場所によって板厚が違ったり(許容公差内)、またラプチャーディスクを実際に取付ける場合はテスト時に使用したホルダーに取付けるのではなく、規定の加工公差内で製作された新しいホルダーに取付けて使用するなど、種々条件を加味し、許容公差をもうけております。
ところが、先程のPV型1MPaの設定圧力の例で考えますと次のような結果が起こりうることになります。
設定圧力 | 1MPa |
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製造範囲 | (-5%、+10%)0.95〜1.10MPa |
テスト結果 | (3枚実施)0.94、1.00、1.10 |
その平均値(すなわち刻印される値) | 1.013MPa |
刻印値1.013MPa±5%の許容公差は0.962〜1.064MPaとなりますが、上記の通り実際にテストした3枚のラプチャーディスクの内、0.94と1.10MPaで破れた2枚はこの許容公差範囲外の圧力値となり、矛盾が生じます。
そこで製造範囲0.95〜1.10MPaの範囲内に破裂テストの平均値が入り、その上個々のテスト結果が刻印値を中心とした許容公差内にも入っているものだけが製品となります。すなわち、
製造範囲 | 0.95〜1.10MPa |
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テスト結果 | 0.94、0.96、0.98MPa |
平均値 | 0.96MPa |
許容公差 | ±5%ですから0.912〜1.008MPa |
この範囲で3枚のテスト結果全て破れているものが製品となります。
従って、1つでもテスト結果がとびぬけて異なった値にて破裂した場合、±5%以外の圧力の出たロットについては不合格となるわけです。なお、製造範囲内に入らなければならない数値は破裂テストの平均値であり個々のテスト結果の数値は製造範囲に入らない場合があります。
3.破裂圧力と最大可能運転圧力について
破裂圧力は、基本的には使用する材料の板厚と引張強さまたはヤング率で決まります。
ラプチャーディスクが、運転圧力の変動、温度、使用環境などの条件により疲労することは当然です。疲労はラプチャーディスクに経年劣化として破裂圧力の低下をもたらし、ついには運転圧力で破裂することになります。
ラプチャーディスクは個々の型式により最大可能運転圧力をきめています。この最大可能運転圧力は、製造範囲の種類により次の2通りの方法により決定します。
ただし、刻印破裂圧力は破裂試験結果の平均値であるため、ラプチャーディスク製作前ではその値は不明です。このため、製作前段階での最大可能運転圧は製造範囲下限に対して70%、80%、90%となります。(一部異なる場合がありますので、詳しくは各ディスクタイプの頁をご覧ください。)
製造範囲 | 最大可能運転圧力 |
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スタンダード、MAXスタンプ、リデュースレンジ | 刻印破裂圧力(平均値)に対して70%、80%、90% |
ゼロレンジ | 破裂公差下限に対して70%、80%、90% |