ラプチャーディスク / ラプチャーディスクについて

極低温下での安全弁保護(CRYOGENIC-VALVE GURAD)

蒸気ボイラーおよび動力ボイラー等への高温下での安全弁の使用方法については圧力容器構造規格等の法規によって規制されていますが、極低温下でのアプリケーションにおける安全弁の使用方法については、規制が十分ではありません。

極低温下でのアプリケーションを設計する多くの技術者は、EN ISO 4126規格、ASME VIII、またはAPI526を参照して設計しますが、誤った解釈によって危険な運用状態になる可能性があります。

現在の産業ガスの多くは液体状態にすることでガス状態の体積の500〜900分の1となるため極低温条件下で液化されることが多くあります。

極低温下での用途が見られる産業は、天然ガス産業(液化、輸出、輸入)、製油所(LPG)、空気分離(産業ガス–窒素、アルゴン、酸素、ヘリウムなど)、海洋(LNG、LPGの輸送)があります。
これらはすべて圧力上昇を伴う緊急時には極低温状態で安全弁から瞬時に放出されなければなりませんが、極低温下で「従来の」安全弁を使用すると、氷結または詰まりのために作動しなくなる可能性が高くなります。

従来のスプリング式安全弁を使用する場合、リークが発生するとシート部が氷結または詰まってしまい作動しなくなるので、リークの発生しない安全弁を使用することが不可欠です。またベローズ平衡型安全弁を使用する場合もベローズの大気側に氷が堆積する可能性があります。

どちらの状況も安全弁が作動しなくなり非常に危険な状態につながりますが、上記の危険性を考慮されずに設置されることが多くあります。
過酷な極低温条件下で安全弁を正しく動作するには、適切に設計されたラプチャーディスクを入口配管に設置することが重要です。
ラプチャーディスクは、安全弁の熱障壁として機能し、リークによって起こるシート部の凍結を防ぎます。

また、ラプチャーディスクは破裂設定圧の許容公差下限の95%までプロセス運転圧力を高くすることができます。これはスプリング式安全逃し弁のASMEVIIIおよびAPI526によって保証されている90%の気密性よりも高くなります。

極低温下でのプロセスで使用されるパイプスプールを組み合わせたラプチャーディスクユニットを紹介します。

パイプスプールとの組み合わせは極低温にさらされるラプチャーディスクと安全弁の間の空間を適切な温度に保ち、安全弁の主要部(ノズル、シート、ベローズ)を保護するのに効果的です。
また、ラプチャーディスクと安全弁シートの間のスペースを大気圧に保つために(且つディスク背圧が発生して設定圧力が変動するのを防ぐため)、ディスクと安全弁の間の空間への水分の侵入を防ぎ、ディスクが氷結して設定破裂圧に誤差が生じないようにグリコールを充填したサイフォン管とエクセスフローバルブを使用して大気に接続します。
この方法によってラプチャーディスクは極低温下でも正常に作動します。

  
写真1:41パイプスプールを組み合わせたラプチャーディスクユニット