ナイフゲートバルブの役目
爆発事故で恐ろしい現象の一つは、爆発が次々と伝ぱんしてゆき、被害がプラント全体に及ぶことがあるという点です。(参考:「伝ぱんする爆発の恐ろしさ」)
そのため、爆発の発生が予想される機器本体を防護するだけでなく、接続された配管にも、爆発を遮断するための装置が必要となります。
ナイフゲートバルブは配管やダクトを高速な機械式遮断弁で強制的に閉鎖し、火炎伝ぱんをブロックし、大切な機器と人命を事故から守ります。
ナイフゲートバルブとは
図1のように機器Aで発生した爆発において先行して進行する圧力波を感知して、ナイフゲートバルブを強制的に閉止して機械的に遮断するアクティブシステムです。
作動時間はナイフゲートバルブ本体(感知、制御系を除く)で内径部の駆動距離1インチ(24.5mm)につき5/1000秒と非常に高速です。
たとえば口径6インチの場合、30/1000秒でバルブを閉止します。この高速な閉止速度による遮断性能により、従来ベンテックスバルブなどでは実現できなっかった比較的短い距離の配管での使用が可能となりました。また、耐爆封じ込め容器(12bar Shock Resistant Vessel)での封じ込め遮断バルブとして使用できます。
爆発遮断の目的は火災、爆発火炎の配管内での伝ぱんをブロックするための高速遮断です。このため、作動方式は市販の緊急遮断弁などの低速で作動するバルブ異なる特殊な設計が施されています。
遮断方式は構造的に最も遮断遂行時間の短いナイフゲート式を採用し、その作動には直結されたガスシリンダーが使用されています。ガスシリンダーを駆動するのはN₂ガスとなります。またナイフゲートバルブはクリーンシート設計を持ち配管と一体に直線上に取り付けられ、両方向からの火炎、爆発をブロックできます。
クリーンシート設計はプロセス粉じんの積層を防止し、内部構造物のない設計のため空気輸送は阻害なくスムーズに行えます。
ナイフゲートバブルの外部は人員に危険をおよばさないように可動部をなくし、プロセス内容物を外部へ放出しない設計になっています。
ナイフゲートバルブの分解は現場での点検を容易にするために配管に取り付けたまま、上部および底部から行えます。
システム構成
ディテクター(爆発感知器)
超高速トランスデューサーを使用。他のファイク爆発防護アクティブシステムと共用可。
コントロールパネル
システムのコントロールパネル、回路の監視、停電時のバッテリーバックアップを行う。他のファイク爆発防護アクティブシステムと共用可。
ナイフゲートバルブ
窒素ガスをエアシリンダーに導き、ピストンの前進がナイフゲートバルブを瞬時に閉止する構造を持つ。口径は2インチから最大24インチまで。
爆発遮断弁の設計パラメータ
爆発遮断弁の設置距離を決定するためには、次に示す設計パラメータが必要になります。
爆発遮断弁は、着火元となる機器からの距離が近すぎても遠すぎても性能を発揮することができません。
- KG値(ガスの場合)
- Kst値(粉体の場合)
- Pmax値
- プロセスのレイアウト(機器と遮断弁の間に設置できるエルボは最大2個までのため)
- 配管径
- 機器体積
- 流速
- 運転圧力
- 最大運転圧力
- 運転温度
- 圧力ディテクターの設定圧力(圧力ディテクターの設定圧力は、爆発放散口の設定破裂圧力、または爆発抑止システムの作動圧力との兼ね合いで適宜決定されます)