爆発防護 / 爆発防護について

用語集

爆発圧力放散設備技術指針

独立行政法人労働安全衛生総合研究所により発行された爆発圧力放散設備の技術指針。主として全米防火協会(National Fire Protection Association)のNFPA 68を参考として作成された。

L/D

爆発放散の対象となる容器を有する装置で、容積の中心軸(主軸)に沿って装置形状が変化しない場合、容積の最長の寸法(高さに等しい場合もある)を装置の長さL[m]として、内径D[m]に対する装置の長さL[m]の比をいう。なお、LとDは、装置の形状にかかわらずL≧Dの関係にあるものとし、円筒形以外の装置形状の内径は相当径DEを使用する。

開口

装置の一部であって、大気に直接開放された部分、又は、爆発によって大気に開放される部分をいう。

可燃性ガス・蒸気

可燃性のガスと引火性の液体の蒸気をいう。

可燃性粉じん

飛散して空気中に浮遊したり、施設、設備等の壁面・床面等に付着・堆積している状態の可燃性粉体をいう。

危険等級

可燃性粉じんの爆発危険性を、Kst値に基づいて3つの等級(St 1,St 2,St 3)に分類する評価法で、粉じんの爆発危険性(爆発の激しさ)の相対的な比較の尺度として用いる。なお、Kst値をもとに分類される粉じんの爆発の激しさを表す危険等級を表1に示す。

表1:危険等級
危険等級
(爆発クラス)
爆発指数
Kst(×102kPa-m/s)
最大爆発圧力
Pmax(×102kPaG)
内容
St 10〜200≦10爆発の激しさが弱い粉じん
St 2201〜300≦10爆発の激しい粉じん
St 3300を超える場合≦12爆発の激しさが特に大きい粉じん
  • ハイブリット(プロパン相当ガス&St=1又は2粉じんの混合物)で、実際のテストデータ値が無い場合は、[ Pmax=10, Kst=500 ]として計算する。(NFPA68より)
  • Kst値は最大800まで適用できる。これらの特性値の測定方法は「JIS Z 8817:2002」に記載されている。

Kg値、Kst値あるいは爆発指数[×102kPa-m/s]

最大圧力上昇速度に基づいて定義される指数であり、ガス爆発あるいは粉じん爆発の相対的な激しさを示す尺度となる。可燃性ガスの場合にはKg、粉じんの場合にはKstと記して区別するが、本質的な意味は同じである。

最大圧力上昇速度(dP/dt)max[×102kPa/s]

可燃物と空気との混合組成を変えた場合において、耐圧密閉容器中の爆発により発生する圧力の最大値をいう。また、最大爆発圧力を与える可燃物‐空気混合物について、エクスプロージョン・ベントを設けようとする装置を密閉した場合に発生すると予測される最大圧力上昇速度をいうことがある。通常は、初期圧力が標準大気圧のときの値をいう。

最大爆発圧力Pmax[×102kPaG]

可燃物と空気との混合組成を変えた場合において、耐圧密閉容器中の爆発により発生する圧力の最大値をいう。また、最大爆発圧力を与える可燃物‐空気混合物について、エクスプロージョン・ベントを設けようとする装置を密閉した場合に発生すると予測される爆発圧力の最大値をいうことがある。通常は、初期圧力が標準大気圧のときの発生圧力をいい、特に断らない限り初期圧力との差で示す。

消炎装置

爆発圧力の放散に際して開口から噴出する火炎や高温の燃焼生成物を、消炎あるいは冷却するために設けるものをいう。消炎装置を設ける場合には、その構造・機能は実験などにより確認されたものでなければならない。消炎装置は、圧力の放散を阻害する因子になる。尚、ファイクでは爆発消炎ベントと呼び、実証試験により放散効率を明確にしている。

静的作動圧力Pstat[×102kPa]

静的な圧力によってエクスプロージョン・ベントが作動して開口が生ずるときの圧力をいう。

装置

内部で爆発を生ずるおそれのある装置、容器、ダクトなどをいう。本ホームページでは機器という名称で統一している。

装置耐圧(Pdes)

エクスプロージョン・ベントの設計の基礎となる装置の強度をいう。エクスプロージョン・ベントの設計には、装置が耐え得る圧力の値が必要であり、技術指針では装置の耐圧力の最低値は0.1×102kPaとしている。

相当径DE[m]

装置の断面形状が円以外の場合、放散面積を算出する際に装置の代表(内)寸法として相当径を用いる。装置が容器の場合、装置の中心軸(主軸)に垂直な断面形状の面積から算出する。相当径は幾何学的な関係により、次式より算出する。

DE=2(A/π)1/2
※ A=装置の断面積[m2]、π=円周率

燃焼

可燃物が空気中の酸素と発熱的に反応する現象をいう。

燃焼速度 Su[cm3/cm2/s][cm/s]

可燃性ガス・蒸気と可燃性粉じんの混合物をいう。それぞれの濃度が爆発下限濃度(下限界)未満であっても、混合すると爆発濃度範囲(爆発限界)に入って爆発可能な濃度になる場合がある。

爆発

装置内における燃焼による発熱が急速であるために、装置内の気体の膨張により圧力が急激に上昇する現象をいう。

放散圧力Pred[×102kPaG]

エクスプロージョン・ベントが作動して圧力を放散した際に装置に加わる圧力の最大値をいう。装置は少なくともこの圧力に耐える強度を有することが必要である。

放散面積Av[m2]

爆発圧力放散のための開口面積(設計値)をいう。なお、爆発により薄板などが破れて開口を生ずる方式のエクスプロージョン・ベントにあっては、放散面積は、爆発により生ずる開口の実質的な寸法から算出される面積(有効面積)をいう。

放散用ダクト

エクスプロージョン・ベントが直接外気に面していない場合に、爆発圧力放散のための開口と外気とをつないで、圧力を外気中に放散させるためのダクトをいう。一般に放散用ダクトは圧力の放散を阻害する因子となる。