爆発防護 / 爆発防護について

爆発試験について

爆発試験センターリモートサイト全景
写真1:爆発試験センターリモートサイト全景

爆発試験の概要 および 爆発指数KST値の測定

可燃性粉じん、ガスの爆発特性を調査し、理解することが、爆発の安全対策への第一歩です。ファイクの爆発試験センターは縮小スケールから大型爆発試験までを行える各種爆発実験容器を保有し、燃焼現象を専門とする科学者の指導のもとに専任技術者によるあらゆる爆発試験が行えます。

ファイクの爆発試験容器は実際の装置での容積に与えられる爆発データを縮小版テストにおいても正確に採取できるように設計、建設されています。爆発試験はASTMおよびISO規格に従って実施され、試験レポートが客先へ提出されます。

20リットル爆発試験容器を使用した粉じん爆発の縮小版テストおよびファイク社の保有する大型爆発試験用設備による客先機器に対してフルスケールの実験がリモート操作で行えます。実験の計画、達成についてもファイク社のスタッフがお手伝いします。北米最大のファイク爆発試験センターは米国、ミズーリー州のファイク本社工場内および郊外にリモートサイトとして建設されています。

1m3爆発強度測定試験容器
写真2:1m3爆発強度測定試験容器

10m3爆発試験容器
写真3:10m3爆発試験容器

2m3爆発試験容器で爆発消炎ベントを実証中
写真4:2m3爆発試験容器で爆発消炎ベントを実証中

実機集じん機による爆発デモ装置
写真5:実機集じん機による爆発デモ装置

表1:爆発試験容器ラインナップ
容器(m3)形状最大運転圧(PSIG)
1球形450
2.62:1円筒形100
41:1円筒形320
10球形490
291:1円筒形7.5

粉じん爆発強度測定試験のセカンドオピニオンについて

粉じん爆発の強度測定試験は、元来、容積1m3の試験測定容器により実施されてきました。現在においては、より手軽さを求めてファイク社は20リットル(他の試験機関では30リットルのケースあり)の縮小容器により実施されることが一般的となっています。しかしながら、これら縮小容器を使用して粉じん爆発の強度測定を実施した場合に、そのデータが実際の数値から大きく異なってしまうオーバードライブ現象がASTM 規格とNFPAガイドラインにより開示されています。

一般的に爆発強度測定試験においては、10kJの火薬が着火に使用されます。これは確実に粉じん爆発を起こさせるために必要な火薬量です。オーバードライブ現象は、この強力な火薬量により試験粉体が本着火前に余熱されてしまい、実際の粉体自力による爆発火炎の伝ぱん現象ではない、より大きな爆発火炎の伝ぱん現象を引き起こし、結果として大きな爆発力を検出してしまいます。ただし、オーバードライブ現象は、どの粉体でも発生するわけではありません。

図1にオーバードライブ現象が発生する可能性の高い粉体とその測定データを示します。

数値は爆発指数(略記号Kst)を表します。表からは、たとえ20リットル試験測定容器の着火火薬量を減じても、正しいデータが得られないことが示されており、容積1m3の試験測定容器による測定の重要性が理解できます。

このセカンドオピニオンの目安は、20リットル(または30リットル)試験装置による測定で爆発指数(略記号Kst)が300を超えた場合となります。

標準爆発試験(20リットル容器粉じん爆発強度測定テスト)

20リットル爆発試験容器を使用した粉じん爆発の縮小版テストの場合、0.5kg粉体が必要で(95%以上が200メッシュのふるい通過要すなわち、粒径が75ミクロン以下)、工場到着後30日後に実験レポートが提出されます。
表2:標準爆発試験
標準爆発試験 用途/目的 試験名 採取データ 方法 最大爆発圧力P max、最大圧力 上昇速度(dp/dt)max、爆発 指数K st 爆発防護装置の設計、耐爆容 器の設計、粉じん雲の潜在的 爆発危険性の認知 ASTM E1226 Standard Test Method for Pressure and Rate of Pressure Rise for Combustible Dust 液体、ガス状化学製品の可変 圧力可変温度での空気中の爆 発上限界(UFL)と爆発下限 界(LFL)(1気圧、21℃以上 で設定)最小酸素量(MOC) 測定も可能。 安全システムの設計とプロセ ス運転の条件の設定。データ はMaterial Safety Data Sheetの公表値として使用でき る。最小酸素量は不活性ガス 封入システムに利用できる ASTM Standard E681-85 Standard Test Method for Consentration Limits of Flammability of Chemicals 液体、ガス状化学製品の常温 常圧での空気中の爆発上限界 (UFL)と爆発下限界(LFL 最小酸素量(MOC)測定も可 安全システムの設計とプロセ ス運転の条件の設定。データ はMaterial Safety Data Sheetの公表値として使用でき る。最小酸素量は不活性ガス 封入システムに利用できる ASTM Standard E918-83 Determining Limits of Flammability of Chemicals at Elevated Temperature and Pressure 最大爆発圧力Pmax、最大圧力 上昇速度(dp/dt)max 爆発防護装置の設計 耐爆容器の設計 ガスの潜在的爆発危険性の認知 NFPA 68, Appendix B 炉で過熱された空気に粉じん 雲がさらされた場合の自然発 火温度 爆発予防システムと爆発放護 容器の設計 ASTM E1491-92 Minimum Autognition Temperature (MAIT)of Dust Clouds 粉じん混合比と爆発強度の関 粉じんの爆発下限界 爆発予防システムと設計 プロセス運転の安全な設計 ASTM E1515-93 Minimum Explosible Concentration (MEC)of Combustible Dusts 粉じん爆発を発生させる最小 スパークエネルギー 電気スパークによる着火で比 較感度を評価する A series of tests,using a capacitive discharge circuit, at various concentrations 20ℓ容器粉じん爆発強度測定 テスト 20ℓ dust explosibility 爆発限界測定テスト(液体 ガス) Limits for flammability: Liquids and gases 爆発限界測定テスト(圧力、 温度可変測定・液体ガス) Limits fo flammability: Elevated pressure & temperature 20ℓ容器ガス爆発強度測定テ スト 20ℓ gas explosibility 粉じん雲発火温度測定テスト Minimum autoignition temperatur e: dust clouds 最小着火エネルギーテスト (粉じん) Minimum autoignition energy for dusts 火災、爆発の予防システムと 放護装置の設計 粉じん積層が加熱された物の 表面にさらされた時発火する 最小発火温度 Guidelines recommended by National Science Foundation 粉じん積層発火温度測定テス Minimum dustlayer ignition temperature 爆発予防システムの設計 特に不活発ガス封入システム に利用される 空気中での粉じん爆発の最小 酸素量 (MOC) 20ℓ容器最小酸素量測定テス ト(粉じん) 20ℓ minimum oxygen concentration of dust Based on ASTM E1226. A series of tests are conducted such that MOC for the dust is determined 20ℓ容器爆発限界発測定テス ト(粉じん 20ℓ minimum explosive concentration of dust
  • 米国での爆発試験基準であるASTM規格に従った方法で各種試験を実施します。
  • 国内で爆発試験を実施希望の場合は、国内の試験機関をご紹介します。ただしASTM規格に適合なしとなります。
  • 上記の標準爆発試験以外の試験の実施も可能です。お問合せ下さい。

国内で爆発指数(KST)の測定ができる試験機関

現在、国内で粉じん爆発の爆発指数(Kst)および最大爆発圧力(Pmax)の測定試験ができる試験機関は次の通りです。ただしASTM規格に適合なしとなります。
詳しくは、各試験期間にお問合せて下さい。

社団法人 産業安全技術協会 安全性能試験室

試験名粉じん爆発特性試験
最大爆発圧力、爆発圧力上昇遠度及びKst値(30リットル容器法)
必要な試験粉体量400g(粒径100ミクロン以下で乾燥済みのもの)
納期2週間
必要書類依頼書(ホームページよりダウンロード可能)

株式会社 環境衛生研究所

試験名粉じん爆発試験および爆発下限濃度測定試験
必要な試験粉体量500g(粒径300ミクロン以下で乾燥済みのもの、63ミクロン以下を推奨)
納期2週間

株式会社 住化分析センター 東京営業所

試験名爆発圧力および圧力上昇速度
必要な試験粉体量500g(粒径200メッシュ通過で乾燥済みのもの、63ミクロン以下を推奨)
納期2〜3週間
必要書類依頼書